「俺だ。」
電話の向こうからは、陽気そうな関西弁が聞こえてくる。
「クロちゃんお久しやな〜♪」
クロは携帯を切った。すぐさま、何事も無かったかのように再び書類に手をつける。
再び携帯のバイブレーションが作動した。クロは同じように取る。
「俺だ。」
「すまんすまん、そんなに怒らんとって〜な。」
「『ちゃん』付けとは余裕だな、よっぽど斬られたいらしい・・・。・・・・・・何だ?」
「だからすまんて!わいや!『情報屋ギン』や!!」
「そんなことは分かっている。だから『何だ?』ともう聞いているんだ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
電話の向こうの相手は閉口したようだ。
ちなみにクロがこう無愛想なのはいつもの事である。
どうやら、電話を掛けてきた相手はクロの知り合いの『情報屋』らしい。
今の混乱する世の中情報が命。
如何に敵や世界の情報を知るかによって自分の立場や優位が全く違ってくる。
そのため、他の組織同様、クロも複数の情報屋を専属で雇っているようだ。
「全く・・・。相変わらずやな、友達なくすで。」
「お前に言われる筋合いは無い。・・・・・・・・・で、何だ?」
相手は一寸息を置いた後、がらりと空気を変え冷静に話し始めた。流石はプロと言ったところか。
クロも反応し真面目な対応を取る。
「あんさん、今組織でこっそり動いとる言うたな?」
「ああ、言った。今ちょうど数人動かしたところだ。」
「少し・・・・・・まずいかも知れんで・・・。」
「・・・・・・どういうことだ。」
「実はな・・・、さっき入った情報なんやけど・・・・・・。」
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