第167話 “酔化造性”


 周りに気を付けつつ進む雷太と黒木。
 雪花は随分と勢い良く入っていったが、特に物等は飛散してはいない様だ。

 ちなみに此の建物はそう凄く広いというわけでも無い。
 ブラックメンと同じく組織本部内に構成員は住んでいないのだろうか?

 《ブラックメン本部で有るクロの家は構成員がいないのに異常な広さだけどな・・・。》

 「とりあえず入って良いって言われたし雪花ちゃんを探そうか・・・。」

 「分かりました、誰かに会ったら挨拶して事情を説明しましょう。」

 「ああ・・・・・・、何か被害が出てなきゃ良いけど・・・。」

 建物内は非常にシンプルで装飾等は殆ど無い。
 部屋数もかなり少ない様だ、一つ一つの部屋が広いのだろうか?

 と、有る部屋から突然がたがたと音が漏れて来た。
 何か呻き声まで聞こえて来る。

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 「・・・・・・どうやら酒蔵の様ですね・・・。
  入ってみましょう・・・。」

 「(・・・・・・何かもう帰りたくなって来たな・・・。)」

 音は奥から聞こえて来る様だ。

 そっと覗いてみるが・・・・・・、

 「う、うわ!?」

 雷太は思わず声を上げた。

 男が一人倒れており、其の上に雪花が胡坐をかいて座り酒を飲んでいる。
 辺りには酒瓶がかなり転がっている様だ。