第166話 “長谷川 雪花”


 「あ、あの・・・・・・入れてくれませんかぁ?」

 建物のインターホンに向かい少女が聞いた。

 『駄目です、貴方は入れられません。』

 若い男の声できっぱりと断られた。

 「あ、あうぅ・・・。
  ヴァン君に会いたいんだけど・・・・・・。」

 『そのヴァン君は今外出中です。
  また日を改めてですね・・・・・・。』

 「な、中で待ちたいんだけど・・・・・・?」

 『駄目です、貴女に暴れられると恐ろしい事になりますから。』

 「きょ、今日はお酒持って来て無いよぅ・・・?」

 『そう言ってこの前基地内のを飲んで暴れたじゃないですか・・・。
  とにかく駄目です、では僕は採点が有るのでこれで失礼します。』

 「あ、あぅ・・・。」

 少女は頭を抱えた。
 頭の御団子結びをもしゃもしゃと動かすが幾ら考えても良い考えが浮かばない。

 「・・・・・・出直すしか無いかなあ・・・?」

 「あれ?雪花じゃないか?」

 「そうですね。」

 「ふみゅ?」

 少女が振り返ると其処には見慣れた顔が二人立っていた。

 「龍副総長に・・・、黒木五番隊隊長・・・?」

 「ああ、やっぱり雪花だ。
  何してるんだこんな所で?」

 思いもよらない人物二人の登場に少女は目をぱちくりさせる。