第164話 “黒木 一隆”


 「時は近いか・・・・・・!
  ふふふ・・・ははははは・・・・・・、
  ハ――――ハッハッハッハッハ!!
  ・・・・・・・・・・・・殺す!」

 「悦に入るは御勝手に。
  只少々まずい事態になっておりますよ?」

 「あ?どういう事だよ?」

 「貴方方は目立って戦闘し過ぎなのですよ。
  ヴェルサスさんは今回クロさんと対峙して、
  アークさんはもっと前から大いに世間割れしています。
  此のままではIFPに懸賞金を掛けられるのも時間の問題ですね。」

 「それはまずいな・・・・・・。」

 「俺は構わねえよ、結果あいつを殺せたらな。
  それに寄って来る賞金稼ぎが『神の羊』だったら一石二鳥だろう?」

 「事態はそう単純でも無いんですがねえ。
  まあ御二人ともまだ好きに動いて下さって構いません。
  唯、組織とIFPを甘く見ない様。
  貴方方が思っているよりも彼等はずっと強いですよ?」

 「だがお前ならば余裕だろう?」

 「当然です。」

 ヴェルサスの問いに眉一つ動かさず答えるシヴィウス。
 よっぽどの演技力か実力が無ければ出来ない返答だ。

 「俺は魔力を練る。
  去らばだ、決戦の時は近い。」

 そう一方的に言うだけ言うと、アークは部屋を出て行った。

 「相変わらず忙しい御人ですねえ。」

 「全くだ。」