第163話 “時が近し者、唯待つべき者”
会場が更にざわめいた。
組織の設立名目は様々だが、世界奪取と同時に
世界政府へ全権を譲渡する等聞いた事が無い。
むしろ其れは組織と敵対するIFPの仕事のはずだ。
「馬鹿な・・・・・・、仮にも組織のはず・・・。」
余りにも予想外の事態にデュークは驚きを隠せない。
「だから何だと言うのかね?
他組織を潰す為に組織を創っても良いのでは?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「此の世界の政治面は今まで全て世界政府が執り行ってきた。
世界帝国が崩壊した後も其れは変わっていない。
其れでは政治も何もかも政府に任せる必要が有るのではないか?
反対勢力が有れば我等が出れば良い。
『真の世界の統轄者(ラ・レイン・ルーラー)』で有る我々が。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「我々の目的は戦の先の永劫の平和と共に人間界と魔界を統一する事。
我々は戦う平和主義者なのだよ。」
「信用出来ない・・・!
果たして仮に世界を統一したとして本当に独占意欲が無いのか。」
「ふむ、まあそうだろうな。
恐らくは世界政府の人々もきっと直ぐには御信じにはなられないだろう。
・・・・・・・・・時に高官殿・・・?」
「!?・・・な、何でしょうか。」
突如話を振られた世界政府高官は慌てて答える。