「俺の新たな仕事、魔軍基地跡を5分割に斬る事。
  ・・・・・・・・・邪魔はしないだろうな?」

 「斬撃が飛ぶだと・・・?
  ・・・・・・おいおい・・・、どんだけだよ・・・。」

 新太郎が代表して感想を言う。

 「う・・・・・・そ・・・。」

 海里は息を呑んで目を見開いた。

 「どうした海里!?」

 雷太はふらっと倒れそうになった海里を支える。

 「こんな事って・・・。」

 それを余所目にクロは口を開いた。

 「・・・・・・魔軍を皆殺しにしたのはお前だな?」

 ヴェルサスは『跡』と言った。
 クロ達以来誰も来ていないのに知っているという事は当事者か仲間だけだ。

 「それは違うな。
  我は殺ったやつと一緒にいただけだ。」

 どうやら皆殺しの張本人は別にいるらしい。
 ただ、一緒にいて見てただけだとしても同じ事だ。

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 クロは何も言わずに鯉口を切った。

 「海里・・・どうしたんだ?」

 「だって・・・、swallow・・・extent・・・。
  あれは・・・・・・どう見たってクロの・・・。」

 クロはヴェルサスにほぼ背を向ける。

 「・・・・・・?」

 「我流・・・・・・飛燕・翼開。」



 キンッ



 抜かない。

 一瞬音はしたが、クロが刀を抜いた様には見えない。

 が――――――



 ズ・・・ズズ・・・・・・ズウウゥゥン!!



 凄まじい音がし、魔軍基地の上部が先程と逆斜めに斬れ落ちた。

 砂埃が舞い上がる。

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 「・・・・・・気が変わった。」

 ヴェルサスは鯉口を再び切った。
 抜いた刀身がすらりと光る。

 「貴公をここでみすみす見逃すわけにはいかん。」

 「・・・・・・奇遇だな。」

 クロはゆっくりと振り返った。

 「俺もさっき全く同じ事を思った所だ。」

 再び、互いの刃が交差する。



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