「私もこの惨状に憤りと驚きを隠せないでいるのだ。
  ・・・・・・彼はどうかは知らないがね。」

 「・・・・・・まあ、私も同じさ。」

 本から目を離さずにシドは答えた。
 これ程胡散臭い態度もそうない。
 が、アルハザードは敢えてそれを無視する。

 「ヴァン君は私がじきじきにここへと招いた。
  しかし君達はそうではない。
  申し訳無いが氷上君以外この場を引いてはくれないかな?」

 「ふざけないで。」

 黙っていた海里が冷静に言った。

 「クロさんとヴァンさんに関係ある話ならあたし達も聞く必要があるはずよ。
  もしそうでなくても聞くわ、あんたらは敵かもしれないもの。」

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 アルハザードは無言で雷太と新太郎を見る。

 二人とも海里と同じ心境らしい。

 彼は小さく溜息をついて言った。

 「好きにすると良い。
  後悔しても知らないがね。」

 彼がスイッチを押すと椅子が追加で5つ現れた。

 各々好きな椅子に座る。

 「さて、何の話だったかな?」

 「魔軍の話さ。
  君程の人物ならもっと良い組織に就けるはず。」

 「ああ、そうだったな・・・。
  ・・・・・・噂が流れているとは思ったんだがね。」