第145話 “予想外の山”


 乾いた土地、荒れた大地、強い風。

 まるで荒廃した西部劇の町の様な環境の中、それは立っていた。

 少し離れた所で何かが光に反射して光る。
 どうやら誰かが岩陰に隠れているらしい。

 『どうだ?何か動きはあったか?』

 無線からクロの小声が聞こえてきた。

 双眼鏡を片手に雷太は通信を返す。

 『いや・・・、全くないな・・・。
  そっちはどうだ?』

 『こちらもない・・・・・・、何かがおかしいな・・・。』

 先日の町を後にしたクロ達は魔軍基地の前まで来ていた。

 何か動きがあるかと二手に別れ潜んで見張っていたのだが・・・。

 はっきり言って全く何もない。

 誰も出て来ないどころか音一つしない。
 窓にすら何も映る事がない有様だ。

 『本当に何もないな・・・。
  もしかしてバレたんじゃないのか?』

 雷太、新太郎組がクロ、ヴァン、海里組に通信した。

 『いや、慎重に事は進めていたんだが・・・。
  ・・・・・・・・・!?・・・あれは・・・!』

 突如クロが岩陰から飛び出した。

 「お、おい!?」

 雷太達は驚いてそれを追う。

 クロは入り口の扉近くで地にしゃがみこんだ。