第144話 “血文字予言”


 「やっぱり色々と新鮮味があるな。」

 新太郎が雷太に言った。

 「初めて来た町だしな。」

 ここはナレクト大陸でもかなり北にある町。
 雷太達は魔軍へ挑む為ここまでやって来たのだ。

 もちろん挑戦状等出すはずもなく、むしろ奇襲である。
 組織大戦はそこまで甘い戦争ではない。
 勝てば良い、卑怯上等でやっている所等幾らでもある。

 炎の町、水の町と同じ様に小休止。
 町を離れれば、もう戦争の始まりだ。

 幸い手配書がそこまで浸透していないのか、
 雷太達を見て無闇に騒ぐ者もいなかった。

 クロも表を出歩けた為ただ無警戒なだけかもしれないが、
 とりあえずは体制を整えられる、有難い事だ。

 「飯食おうぜ。」

 「ああ。」

 二人は自画自賛の看板を掲げるパスタ専門店へと入って行った。



 町中。

 クロは一人で歩き、町人に聞き込みをしていた。

 「・・・・・・情報によるとここなんだが・・・。」

 ある一軒の町外れにある家の扉を叩く。

 「はい。」

 「忙しいところ済まない、少し聞きたい事があるんだが?」

 数秒後ゆっくりと扉が開いた。

 開けたのは栗色の髪をした町娘だ。
 年は十代後半、一人暮らしでは無いだろうが他に出てくる気配もない。

 「貴方は・・・・・・。」

 初対面だが、クロの事を知っているらしい。
 とはいえ警戒する素振りでもない様だ。

 「初めまして。
  少し聞きたい事があるんだが、良いか?」

 「・・・・・・仮面の悪魔の・・・事ですね?」

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 「どうぞお入り下さい。」

 「悪いな。」

 クロは家の中へと入って行った。