広大な土地、草一本も生えていない荒地。
一人の男が走っていた。
今は一人、しかし先程までは・・・。
息を切らし男は必死に走る。
まるで何かに追われてい――――――
「何処へ行く・・・。」
低い声が当たりに響いた。
「ひっ!?」
男は叫び辺りを見回す。
「こっちだ・・・。」
男が後ろを振り向くと声の主がいた。
青黒い長髪に大きな目玉模様の銀色仮面、
ぼろぼろの布を纏い手足は見えず少しだけ中に浮いている。
「たたた、助けてくれえ!!」
男は後退り嘆願した。
「・・・・・・お前は俺の忠告を聞かなかった。
すぐに引き下がれば事無きを得たものを・・・。」
仮面の者はゆっくりと近付いて来る。
「くっ・・・!」
男が手を仮面の者にかざすと仮面の者が大爆発を起こした。
「や、・・・やった!?」
仮面は粉々、マントは更にぼろぼろになっている。
「こいつ・・・中身が・・・・・・?」
仮面とマントしかない。
信じられない事だが中身がなかった様だ。
物質系魔族の何かだろうか・・・・・・?
男は安心し先に進もうとする。
・・・・・・・・・・・・が、
「・・・・・・待て。」
男ははっとした。
声の方を向きがたがたと震える。
何と仮面とマントが再生していく。
まるで何事も無かったかの様だ。
「・・・今・・・・・・何かしたか・・・?」
「う、うあ・・・・・・ああああああああ!!!?」
男は逃げ出した。
「牢獄に閉じ込められし愚者よ・・・。
・・・・・・果てるが良い。」
仮面の者が手をかざすと男がみるみるミイラになっていく。
やがて骨となり、骨も崩れ粉となった男は文字通りいなくなった。
「あ・・・・・・。」
声と共にバスケットを落とす音が響く。
ここは町に近い。
町娘が散歩中に目撃したのであろう。
尻餅を着き恐怖で下がる町娘。
仮面の目玉が彼女を捉えた。
←いっこ前へ
←小説選択へ。