「人様ってのは皆仲良くとはいかなくてな。
  常々ぶっ殺してやりたいのがいるんだよ。
  あんたも一人や二人いるんじゃねえのか?」

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 「そういう輩を依頼を受けて殺す。
  まあ危険で汚い故に一回云百万は取れらあな。」

 「云百万・・・・・・。」

 延命処置が一回で出来る・・・。
 何回かすれば完全治療も出来るかもしれない。

 しかし・・・・・・・・・。

 「駄目だ駄目だ駄目だ!
  我が一族の掟に反する上に、何よりそんな事をしてまで・・・・・・。」

 「ま、あんたの問題だからな、俺は何にも言えねえよ。
  もし気が向いたらまた此処に来るんだな。」

 バルロクスは煮え切らない思いで家に帰った。

 「おかえり、お兄ちゃん。」

 「おかえり、バルロクスや。」

 笑顔で迎えてくれる二人。

 「ああ、唯今。」

 昔から繰り返してきた光景。

 母がいなくなれば其れも見れなくなるのか。

 粗末な布団の中で、彼は固く拳を握った。

 血が滲み出る程に。



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