「た、太郎・・・様!」

 バルロクスは起き上がり姿勢を正そうとする。

 「嗚呼、良い良い楽にしといて。
  小生は名目上の纏め役に過ぎないのだし。」

 「太郎・・・・・・冗談がきついわ・・・。」

 「あはは、まあまあ。
  しかしやられたみたいだね。」

 「申し訳御座いません・・・・・・。」

 「良いよ。通信機も取られたみたいだけど
  正直貴重ってだけで何か分からなかったしね。」

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 「とりあえず救護班を呼んでおくから。
  治ったら今度の会議には参加する様にね?」

 「・・・・・・・・・はっ!」

 太郎は頷くと後ろを向いて帰り始めた。

 「・・・・・・クロにやられたのね・・・?」

 「・・・・・・ああ、前回と全く同じでな。」

 「そう・・・・・・。
  じゃあまた、治ったらね・・・。」


 「ああ・・・・・・。」

 太郎と輝夜姫は去って行った。

 バルロクスはほっと息をつく。

 本人はああ言っていたが太郎と輝夜姫は実質組織内で一、二の実力。
 童神と言われる太郎はクロよりも強いに違いない。

 とりあえず咎めはない様だ。
 何より救護班が来るのが有難い。

 傷が疼く時間が短くて済む・・・・・・。
 傷を癒しそしてまた太郎の為に――――――



 シュッ!!



 「!?」

 バルロクスは目を見張る。

 仮面と甲冑を纏いし黒騎士が突如この場へ現れた。

 「ここがあいつがいた場所か。」