一方その頃、バルロクスの洞窟。

 彼は壁に寄り掛かり静かに呼吸をしていた。

 流石に傷が深く今は動かず体力を回復させるしか無い。
 幸い食料は大量にあるので暫くすれば動ける様になるだろう。
 傷の治療はそのあと口の堅い医者に頼めば良い。

 「!!?」

 バルロクスは巨斧を手に取り引き寄せた。

 何者かがここへやってくる・・・。
 一人・・・・・・いや二人か・・・。
 もうここには何もないのだが敵の可能性がある以上排除すべきだ。

 殺しなど最早彼の心の留め金にはならない。

 次第に足音や声が近付いてくる。

 「不意打ち・・・許されよ!
  ・・・・・・ぬうん!!」

 バルロクスは両腕で巨斧を力任せに振り下ろした。

 「!?」

 撃音がしない・・・。
 何と巨斧が指一本で止められている。

 いやむしろそれよりも・・・・・・。

 「た、太郎様!?それに姫も・・・!」

 人差し指一本で巨斧を止める男。
 その落ち着いた挙動からは何かしらの『絶対』を感じさせる。

 エンシエントレジェンズの王、『太郎』。

 「やあバルロクス、随分と激しく戦った様だね。」



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