第129話 “黒猫と炎牛”


 決着。

 「お、やったな!」

 雷太は水魔法の膜を解いて歩み寄る。

 「・・・・・・・・・・・・・・・。」

 「・・・・・・・・・?・・・新太郎?」

 「・・・・・・まだまだだな、俺も。」

 「・・・勝ったじゃねえか?」

 「ごり押しで勝っただけだ。
  一歩間違えば普通に負けてた。
  それに格闘家は体が資本。
  それを駄目にしているようじゃ・・・、まだまだ駄目だ。」

 「・・・・・・・・・・・・・・・。」

 確かに新太郎は火傷等はないものの、両の腕は使い物にならなくなっている。

 「・・・・・・まだまだ強くならないと・・・。」

 「・・・・・・・・・・・・・・・。
  (・・・・・・こいつこんなにストイックだったっけ・・・?)」

 「ん〜、余りそう言うのは感心しないなあ。」

 「「!」」

 声がした方を二人が向くと、部屋の入り口にヴァンとデュークが立っている。

 「勝ったは勝ったんだし、今は良いじゃん。
  それに相手の前で悔しがるのは失礼だよ?」

 「・・・・・・・・・済みません。」

 新太郎は頭を下げた。

 「まあ良いけど・・・・・・。」

 「皆来ていたのか、終わったみたいだな。」

 どうやらクロも来たようだ。