「・・・・・・・・・・・・・・・。」

 闘いの中で目を瞑る等言語道断。
 そこを衝かれても文句は言えない。
 しかし新太郎はフレイムバイソンの一族の誇りに倣って彼を倒すと言った。
 この隙を衝いて攻撃してくるはずがない。

 現に新太郎も構えを解いてバルロクスをじっと見ている。

 「誇り・・・・・・か。」

 バルロクスは呟いた。

 「懐かしいな、今でも光景が浮かぶようだ。」

 そう言うと彼は目を開き、巨斧を捨てた。

 「!・・・・・・お前・・・。」

 「拙者もフレイムバイソン族。
  村は追い出されたが微かな誇りは捨てておらぬ・・・。」

 「・・・・・・・・・・・・・・・。」

 「貴殿・・・・・・名は・・・?」

 「・・・・・・乾 新太郎。」

 「そうか・・・、感謝する。
  ・・・・・・拙者は貴殿と決着を付けたい。
  ・・・・・・・・・フレイムバイソン族の掟に従って。」

 「!」

 新太郎は笑って両拳を打ち付けた。

 「受け入れた!」

 「・・・・・・いくぞ、乾 新太郎。
  我が名はバルロクス・ヴェルフレイム。
  誇り高きフレイムバイソン族の一人。」

 「・・・・・・俺の名は乾 新太郎。
  フレイムバイソン族の闘いの掟にしたがってお前を倒す。
  ・・・・・・・・・・・・いくぜ。」

 二人は静かに構えた。



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