と、バルロクスは斧を引いた。
 別に気絶したなどではないらしい。

 「な、何故・・・・・・?」

 「待てと言われたから待った。
  ・・・・・・ただし次は待たぬ。」

 バルロクスから少ししわがれた声が出た。

 「!?・・・しゃべれるのか!?」

 「当然だ、我が一族は皆しゃべれる。
  貴殿等は拙者以外に会った事が無いのか?」

 「ないけど・・・・・・。
  じゃ、じゃあ何で最初話しかけて来なかったんだよ!?」

 「貴殿等こそ話し掛けて来なかったではないか。」

 「うっ・・・!
  ・・・・・・で、でもあんな獣声聞かされたんじゃ・・・。」

 「あれは気合だ。
  ・・・・・・・・・・・・さて。」

 バルロクスは巨斧を構えた。

 「緊張は取れたか?死合をする覚悟は出来たか?
  竦む相手を殺すは引ける、球か命を差し出されよ。」

 「・・・・・・・・・・・・。
  (・・・あ、こいつもしかして・・・・・・。)」

 きっと「待て」と言われなくても斧を当てる気はなかったのだろう。
 雷太達が通信機を渡すか、落ち着くまで待っていたに違いない。

 「答えよ、拙者は期が短い。」

 「新太郎・・・?」

 「・・・・・・ああ、分かってるよ。」

 雷太と新太郎は構えた。

 「「来い!」」

 「是。
  拙者の名はバルロクス・ヴェルフレイム。
  過去殺しを職とした外法者なり。
  太郎様が諸物、取り返す為に若き命を散らさん。
  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・参る。」



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