「嘘・・・・・・、鉄の刀で此れが斬れるはずが・・・。」

 「斬鉄って技術があってな。
  普段斬れないものも技によっては斬れるんだ。
  ・・・・・・それに今のは風で斬り裂いている。」

 「・・・・・・どういう事?」

 「簡単な事だ。
  鎌鼬は聞いた事があるだろう?
  風は時折刃になる、何ものをも斬る刃に。
  刀を高速で振った時の空気変動で斬っているわけだ。」

 「在り得ない・・・。
   そんな事が出来る人間だなんて・・・・・・。」


 「一つ言っておく・・・。
  此の世に俺が斬れないものは無い。」

 「!」

 「行くぞ・・・。」

 「此方も行くわ・・・・・・。」



 ガシャアン!!!



 再び何処からともなく鎧騎士が降ってきた。
 それも一体や二体ではない、十数体がクロを囲む。

 先程吹っ飛ばされた足跡付きの二体も加わった。

 そのまま隙を作らず全ての鎧騎士が一斉に斬り掛かる。

 「左様為ら・・・・・・。」

 「別れの挨拶にゃちょっと早いんじゃないのか?」

 「!?
   まさか此の剣幕で生きて・・・・・・?」


 「我流・・・・・・戦嵐・鬼独楽。」

 その地から殆ど動かず周りの相手全体を斬り倒すわざ。

 一瞬で周りの鎧騎士はばらばらに斬り崩された。

 「嘘・・・・・・・・・・・・。
   はっ・・・!・・・・・・クロは・・・クロは何処に・・・!?」




 シュボッ・・・



 「!」

 「何があるか分からないから今まで我慢しててな・・・。」

 クロは輝夜姫の後ろで煙草に火を点け吸った。

 「・・・・・・・・・お前は峰打ちだ。
  軽めのやつだから安心しろ。」

 「・・・・・・・・・そう、有難。」

 そう言うと輝夜姫は静かに倒れた。

 「もっとも、一日は目覚めないと思うがな。」



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