魔王オリシオン。

 その者は突然現れた。

 突然魔族の集落に現れ彼はこう言ったという。

 「人間を滅ぼす。ついて来い」

 オリシオンは強かった。

 自ら魔王と名乗るだけあり、古代魔法を全て使いこなした。

 彼の言を頑なに拒む魔族、
 彼に面と向かい抗議する魔族、
 彼に攻撃を加え殺そうとする魔族、

 皆、殺された。

 千人の屈強な戦士を古代魔法一撃で灰にする。

 それが彼だった。



 戦争が始まった。

 魔王オリシオンとその強さに惚れ込んだ一部の魔族。
 それ以外の者達。

 魔王オリシオンVS.世界。

 数では圧倒的に世界が有利。

 世界中の者が、魔王の居城に押し寄せた。

 魔王は強かった。



 初めて見る魔法という力。

 それに殆どの者は圧倒され、残りの者も一切敵わず、

 魔王には誰一人触れる事すら出来なかった。

 ただただ、居城に入ろうとした者は全て消された。

 絶望、諦め、終末、無抵抗、虚脱、
 ただ死を待つ生、泣き叫ぶ子供、荒む大人。

 平和はそれに塗りつぶされた。