第59話 “魔人と拳帝”


 「くっ・・・くくくくく・・・。
  フハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!」

 魔人の魔力増幅が止まらない。

 一人の魔人に、六人の第一級魔導士が押されている。

 「こ、これが・・・・・・。」

 「・・・・・・かつて魔法都市を
  たった一人で壊滅寸前にまで追いこんだ力・・・。」

 リーネとミルフィが唸るように言った。

 「そうだ・・・、くっ・・・くくくくく・・・。
  これこそが魔人様の絶対なる力だっ・・・!!」

 更にクライヴの反発が強まる。

 「くっ・・・。鉄姫・・・・・・。
  あなたまだ魔力あがるんじゃないの・・・?」

 「・・・無礼者め・・・!
  私とてギリギリまで高めておるわ・・・!
  我が下僕雷太こそまだ上がるのではないのか?」

 「い〜や、俺もギリギリだ・・・。
  全身の細胞隅々から魔力を集めろ・・・。
  最悪が復活しちまうぞ・・・・・・。」

 赤い鉢巻を取るわけにはいかない。
 『大魔剣士 氷室 秋水』。
 彼との約束だから。
 彼との約束は二度と破りたくない。

 「・・・・・・。(だけど・・・、最悪の場合は・・・・・・。)」

 鉢巻を取ってでもやるしかないだろう。

 魔人を解き放つわけにはいかないのだ。

 「しかし・・・、残念だったなあ!ハハハハハハ!!
  せめてあと一人いれば何とかなったかもしれねえのによ!」

 「「「「「「くっ・・・。」」」」!」」

 押される。
 非常にまずい。
 このままでは逆にこっちが封印される。
 魔人が解き放たれる。
 全てが終る。